メルセデス・ベンツ Vクラス (1)

足まわりの変更でアライメント調整を実施するメルセデス・ベンツ Vクラスの入庫です。

メルセデス・ベンツというクルマは、よく一般的には「ベンツ」と呼ばれますが、メルセデス・ベンツ社では「ベンツ」という呼称ではいけません。
「メルセデス・ベンツ」か「メルセデス」であります。
確かにその生い立ちからうするとそれは頷けます。

自動車の父と呼ばれたゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツが時を同じくして自動車(ダイムラーが二輪車、ベンツが3輪車)を開発していました。
その後、ダイムラーは支援を受けていた実業家エミール・イェりネックから自身の娘・メルセデスの名を冠した自動車づくりを依頼されました。
そこでダイムラーの片腕ヴィルヘルム・マイバッハが製作したレース仕様車が、最初のメルセデスでした。
第一次世界大戦後、ダイムラー&マイバッハとカール・ベンツのそれぞれの会社は合併しました。
その結果、この会社が製造する自動車が今日の「メルセデス・ベンツ」となったわけです。
だから、ベンツではなくメルセデスが先行しないといけないんです。

さて、
メルセデス・ベンツ車は専用のアダプターをタイヤにセットしてアライメント調整を実施します。
これはメルセデス ベンツ公認の工具になっています。

このVクラスは、前後のトゥのみ調整が可能です。メルセデス・ベンツにしては、キャンバー調整なども可能にしてもらいたいものです。
結果としてフロント/リアのトゥを調整して実走してみることにしました。
トゥの設定は0.0°になっていました。0.0°にしてもサイドスリップはインになってしまうはずです。
車検の検査項目には横滑り量(サイドスリップ)がありますが、キャンバーとの兼ね合いでトゥをアライメント調整して合わせても、実際はサイドスリップ値が不適切な結果になってしまうことが多いです。
そのため、メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車は、イン側5.0mm~±5.0mmまでが横滑り量(サイドスリップ)は合格となっています。
トゥを調整して実走してみると、ちょっとハンドルが左右にフラつくような感じがします。
メルセデス・ベンツ車にしては、Vクラスのキャスター設定値の範囲が少ないようです。
もっとトゥをイン側に調整してもよいかもしれないのですが、今回は範囲内にして様子をみることとしました。

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